リセットしてから2年以上経ち、比較的安定してきている海水30cmキューブ水槽ですが、前々から思っていた課題があります。
「サンゴが購入時の色を維持できない」ということです。
例えば、このカクオオトゲキクメイシは購入時はオレンジでビカビカでしたが、数か月経つと色が薄くなっていきます。しかし健康状態は悪くないです。
良い言い方をするとパステル調になっていると言えるのですが、「この色良い!」と思って購入したサンゴの色が変わってしまうのは、ちょっと困ります。
原因について考える
”水質”、”水流”、”光”を見直してみましょう。
① 水質
- 塩分濃度:33.7‰
- PH:8.1
- 硝酸塩:1ppm
- 亜硝酸:0ppm
- リン酸塩:0.01ppm
- KH:7.6dKH
- Ca:450ppm
- Mg:1520ppm
栄養塩が少なすぎか、とか少し気になるところはありますが、概ね問題無しだと思います。
あとは水道水を使っているので、数値に現れない要因があることも捨てきれませんが・・・。
② 水流
「ミニットストリーム2000」で全体が揺れるように波を作っているので、少なくとも水流が足りないということは無く、おそらく問題無しと思っていますが判定が難しいところ。
③ 光
お恥ずかしながら最近になって、サンゴの持つ”蛍光タンパクの励起スペクトル”というものを知りまして、「原因はこれだろう」となりました。
ここから先は、SPECTRAやVitalWaveといったサンゴLEDの設計をされた明林永二様が管理されている『1.023world – ヤドカリパークとマリンアクアリウム -』のページを一部引用させていただきます。
そして、私の解釈でまとめさせていただいているので、間違っているところがあれば申し訳ありません。。
サンゴは”蛍光タンパク”を持つことで、光に当てると蛍光色に光るのですが、サンゴの個体によって持っている蛍光タンパクの種類が違います。
例えば、緑に光るスターポリプはGFP(グリーン蛍光タンパク)、赤く光るハナガササンゴはRFP(レッド蛍光タンパク)、とかですね。複数持っているサンゴもいます。
各蛍光タンパクが発光したときの波長を表した”蛍光タンパクの発光スペクトル”がこちら
虹をイメージするとわかりやすいと思いますが、波長が短い方から、BFP(ブルー蛍光タンパク)、CFP(シアン蛍光タンパク)、GFP(グリーン蛍光タンパク)、YFP(イエロー蛍光タンパク)、OFP(オレンジ蛍光タンパク)、RFP(レッド蛍光タンパク)、DRFP(ディープレッド蛍光タンパク) となります。
そして、各蛍光タンパクが発光するために必要な波長である”蛍光タンパクの励起スペクトル”はこちら
例えばRFP(レッド蛍光タンパク)が一番発光するのは500nm周辺(シアン, グリーン)の光を当てた時、ということになります。
つまり、効率よく発光するためには自身の発光スペクトルより少し手前の波長の光が必要なことが分かります。
そして、励起スペクトルが集中するのは、およそ380-520nmの範囲となっています。
この範囲を励起帯域(Excitation Band)と言い、様々なサンゴを綺麗に発光させたい場合はこの波長帯域が出るライトが必要になってきます。
今私が実際に使用しているライトは「オプティマスリーフナノ2」です。
スペクトラムはこちら ※株式会社エムエムシー企画ページ引用
450nm周辺が十分であるものの、励起帯域はカバーしきれていません。
今思えば、GFP(グリーン蛍光タンパク)を持っていると思われるスターポリプやエダコモンサンゴの発色については、文句ありませんでした。
450nm周辺の強めのブルーの波長がGFP(グリーン蛍光タンパク)を励起しているということだと思われます。
逆にカクオオトゲキクメイシやウスコモンサンゴ、ディスクコーラルのRFP(レッド蛍光タンパク)や、ゴールドトーチのYFP(イエロー蛍光タンパク)への励起が弱いため、色が薄くなっている可能性が高いです。
もちろんこれは励起帯域だけの話なので、「オプティマスリーフナノ2」は褐虫藻の光合成に必要な波長は十分に備えており、広い範囲を照らせてコスパも良い、小型水槽におすすめできるライトだと思っています。
解決案
というわけで、カクオオトゲキクメイシやゴールドトーチの色揚げをするためには、励起帯域をしっかり照射してあげる必要があります。
なので、VitalWaveなど波長保管タイプのスポットLEDを追加しようと思います。
それでもまだ別の課題があるのですが、それはまた次回。
それではまた。