サンゴを飼育する上で、水流ポンプは必須と言っていいほどのアイテムです。
小型水槽において、「水流ポンプ選び」は頭を悩ませる問題の上位に来ると(勝手に)思っています。
その理由は、以下の条件を同時に満たせる水流ポンプが少ないからです。
(1) 強すぎず弱すぎず丁度いい水流の強さ
➡ サンゴによって適正の水流は違いますが、小型水槽では水流ポンプの位置調整によってサンゴに当たる水流の調整がしづらいです。
(2) ランダムな水流が出せる
➡ サンゴ飼育では一定の強さと向きで水流を当て続けることはあまり良く無いとされていますが、小型水槽用の水流ポンプで強さや向きを時間で変えられるものは少ないです。
(3) 存在感を感じさせないサイズ
➡ 外観的にも空間を確保する意味でも、できるだけ小さい水流ポンプであることに越したことはありません。しかし、小型水槽では相対的に水流ポンプの存在感が出てしまうものです。
そこで、私がこれまで試した水流ポンプの使用感について試した順に紹介します。
以下の条件下であることにご注意ください。
- 30cmキューブ水槽
- ツツマルハナサンゴ(ゆらゆら系サンゴ)がメイン
- 水流ポンプの他に外部式フィルター、外掛けフィルターを使用
① コラリア ナノ 900
流量:900リットル/h
海水水槽を始めて一番最初に付けた水流ポンプです。
角度を少しだけ変えられて、水流も太くて、サイズ感も許容範囲、と良い感じではあったのですが、水流が強すぎて洗濯機状態でした。
そして、これ単体では水流は一定でランダムな水流は起こせないです。
別売りの「スマートウェーブ」を接続すれば、時間によりオンオフを繰り返すことができるのですが、元々の水流が強いので断念しました。
② ピコ エボマグ+回転式ディフレクター
流量:最大600リットル/h(ピコ エボマグ単体)
ピコ エボマグ単体で見ると水流が一点から出てしまい、一定の水流しか起こせないのですが、回転式ディフレクターを搭載すると、吐水口が水流の力で回転し、ランダムな水流が起こせるという優れもの。
さらにピコ エボマグは流量調節が可能で吸水口をすぼめることで水流を弱めることができます。
この流量調節を2/3解放で、ツツマルハナサンゴに対して程良くゆらゆらする丁度いい流量になりました。
しかし、欠点としてデカい。
かなり突き出していて、水槽30cm幅を半分程度占めてしまいます。
これにより、ウスコモンサンゴに影ができてしまい、色が抜け始めてしまいました。。
③ ミニットストリーム2000
流量:800~2000リットル/h
特質すべきは、水流ポンプ界で1番と言えそうな小ささと薄さです。
その代わり、向きはガラス面と垂直にしかできません。
コントローラーが付いていて、流量の調整はもちろん、時間帯ごとに波の種類を設定できる優れもの。
どんな設定ができるかというと・・・
Time:予め決められた5つの時間帯で別々の設定ができる
Power:水流の強さが4段階で設定ができる
Mode:以下4つの中から波の種類を設定できる
1: Wave:一定のリズムでオンオフを繰り返す水流を作る
2: Surge:うねるような水流になる
3: Constant:一定の強さの水流になる
4: Lagoon:不規則に水流に強弱をつける
Pulse:Modeで設定した波の時間間隔を8段階で設定できる
多分これだけだとイメージが湧きづらいと思うので、補足します。
ディスプレイに現在の設定が表示されていて、4桁の数字が左からTime, Power, Mode, Pulseに対応してます。
その上にメモリが8段階で表示されていて、現在の水流の強さを表しています。
実はPowerで設定した強さが1:Minの場合でも8段階中の5で水流が出ます。4:Maxの場合は8で出ます。
Powerで1:Minを設定した場合の例でいうと・・・
Modeを1: Waveに設定すると、水流が8段階中の5とオフを行き来します。
Modeを2: Surgeに設定すると、水流が5→4→3→2→1→2→3→4→5→4→・・・となります。
Modeを3: Constantに設定すると、水流が5一定になります。
Modeを4: Lagoonに設定すると、Powerに関係なく水流が1~8の間をランダムで動きます。
肝心の30cmキューブ水槽におけるゆらゆら系サンゴへの水流ですが
Powerを1:Minにしても、洗濯機状態でした。。。
ツツマルハナサンゴはめくれ上がり、カクレクマノミも必死で流れに逆らっている感じ・・・。
水流の強さを8段階で設定させてくれたら、文句なしだったかもしれません。
④ 水中ポンプGF100+回転式ディフレクター
流量:不明
底面フィルター用の水中ポンプですが、小型で流量が少なそうだったので回転式ディフレクターを付けて試してみました。
回転式ディフレクターはいくつかコネクターが付いているので色んな経口に接続できます。
水槽の角に吸盤で付ける形で、あまり突き出さないので、ウスコモンサンゴの影になることもなさそうです。
流量調整が可能で、横方向のみですが向きを変えることもできます。
しかし、今度は流量調整Maxでも水流が弱すぎた。。。
写真では分かりづらいですが、ツツマルハナサンゴに動きがありません。
まとめ
結論から言うと、30cmキューブ水槽でゆらゆら系サンゴを飼育するのに最適なのは
② ピコ エボマグ+回転式ディフレクター
だと感じました。
(ウスコモンサンゴの影についてはこの際諦めるしかない・・・)
(1) 流量 | (2) ランダム水流 | (3) サイズ | ネット価格(おおよそ) | |
---|---|---|---|---|
① | ×(強すぎ/一定) | ×(なし) | 〇(許容範囲) | ¥4,500 |
② | ◎(適切/調整可) | 〇(回転式ディフレクター) | △(突き出し) | ¥4,000+¥1,700 |
③ | △(強すぎ/調整可) | ◎(ウェーブプログラム) | ◎(超小型) | ¥17,000 |
④ | △(弱すぎ/調整可) | 〇(回転式ディフレクター) | 〇(許容範囲) | ¥1,700+¥1,700 |
① コラリア ナノ 900
② ピコ エボマグ+回転式ディフレクター
③ ミニットストリーム2000
④ 水中ポンプGF100+回転式ディフレクター
かなり散財した挙句に回り道をして戻ってくることになってしまいましたが、少しでもどなたかの参考になれば幸いです。
それではまた。